2021-04-12

お釈迦様とチンパンジー

 それでは私たちが再び「今を生きる」ことができるようになるためにはどうすればよいのでしょうか。
 その一つが脳の働きを止めることです。すでにみてきたように私たちは七万年前から過去に縛られて生活してきました。その生活の中で脳を活発に使って来たわけですから、その活動は非常に強力であるはずです。しかしこの脳の働きを僅かにでも止めることができれば、その分「今を生きる」ことができるようになるはずです。
 これを実践したのがお釈迦様だと思います。お釈迦様は、煩悩を捨てよ、とおっしゃいました。煩悩にとらわれるから生老病死の苦しみが生じる。したがって今ある苦しみから逃れたいのなら煩悩を捨てなければならない、ということです。
 実際に「煩悩を捨てよ」と述べられたのか、後世にそう伝わっているだけなのかわわかりませんが、この教えはほんとうは逆説なのではないでしょうか。先に煩悩を捨てるのではなく、「今を生きる」ことが先に来て、煩悩から離れるが結果として生じる、のではないかと思うのです。
 事故に遭って下半身が不随になってしまったチンパンジーの話を聞きました。そのチンパンジーは自由に動けなくなっても少しもしょげたりすることはなかったそうです。あいかわらずいたずら好きで、事故の前と同じように瞳を輝かせて楽しそうに生きていたそうです。「今を生きる」ことができる彼らは、体に支障のなかった過去を懐かしんだりもしませんし、体が不自由だからと将来に不安を感じたりもしないとのことです。つまり彼らには生老病死の苦しみも煩悩などもないのです。
 そしてお釈迦様が実践したのが瞑想です。瞑想することで無心になる。つまり脳の働きを止める、思考をやめるということです。確かにチンパンジーは人間のようにあれこれとややこしいことを考えてはいないようです。

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